豊臣秀吉による小田原攻めのきっかけの城「名胡桃城」とは ~発掘調査の成果から~


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名胡桃城」は、利根川と赤谷川の合流点から南西の河岸段丘上、標高約 430m のところに位置する中世城郭である。
この地は越後方面から三国峠を越えて沼田、中山へ至る交通の要地で、現在も城の南西を国道 17 号バイパス(月夜野バイパス)が通っている。
「名胡桃城」は、沼田景久の3男景冬(名胡桃景冬)によって「沼田城」の支城として築かれたという。
利根川を挟んで反対側の南東方向に位置する「明徳寺城」と一対となって防衛の役割を果たしたと考えられる。

永禄年間(1558年~1570年)には、越後の上杉氏が沼田地方を支配し、「名胡桃城」もその勢力下にあった。
しかし、謙信死後の家督争い(御館の乱)に伴う混乱の中で、 1579 (天正7)年に武田氏に属していた真田昌幸が「名胡桃城」を攻略、翌年には「沼田城」をも攻略して沼田地方を支配した。



昌幸は 1582年(天正10年)に武田氏が滅亡すると戦国大名としての自立を目指し、小田原北条氏と沼田及び吾妻郡の領有をめぐり対立した。
この対立は 1589年(天正17年)に、豊臣秀吉の調停により一旦は解決したかにみえた。
調停の内容は、沼田地方は北条氏に渡し、「名胡桃城」を含む吾妻郡の一部は昌幸が引き続き領有するというものであり、速やかに実行された。
しかし、同年10月23日、「沼田城」の城代となった北条氏方の猪俣邦憲が「名胡桃城」を策謀によって奪取するという事件を起こしたのである。
秀吉はこの事件を惣無事令(私戦の禁止など)の違反にあたるとして北条氏の攻略に踏み切った。
1590年(天正18年)に小田原攻めを開始、月に関東を支配した戦国大名北条氏は滅亡し、秀吉による天下統一が実現した。

このような歴史を有する「名胡桃城」の構造は、西南部の馬出しから北東へ「三郭」・「二郭」・「本郭」・「ささ郭」と主要な郭が直に並ぶ連郭式で、「二郭」の北西には堀を挟んで「般若郭」がある。
1981年(昭和56年)に国道 17 号線バイパスの建設に伴う馬出しの発掘調査が行われ、 1992 (平成4)年からは月夜野町(現、みなかみ町)教育委員会による史跡保存のための発掘調査が継続的に行われて「名胡桃城」の遺構の変遷が明らかになった。
それによると、掘立柱建物などの遺構の規模や方向、重複関係などから3つの時期に区分することができるという。



第1期(築城から天正年間半ば頃)
*天正年間= 1573年~1592年

三郭は存在せず三日月堀の馬出しがあり、各郭は土橋によって連結。
「二郭」と「般若郭」の建物は通路に平行して大小のセットで建てられ、柱間の長さは約8尺が多い。

第2期(天正年間後半)

大幅な改築と補強が実施。
「三郭」と新たな馬出しを増設、主体を「二郭」に移して各虎口(こぐち:入口のこと)を固め、堀切には木橋が架け替えている。
「二郭」の建物は大型で、柱間は約7尺が多い。

第3期(天正年間以後)

近世以降も屋敷が存在。
土塁や柵は不明だが、郭間の堀切間の土橋は版築されている。
建物は小型化し、柱間は6尺前後。

こうした調査成果を踏まえ、現在の「名胡桃城」は第2期を中心として、「二郭」の堀切と「本郭」の堀切に木橋を復元し、土塁や南北の虎口の復元整備を行い、「二郭」の防御構造をわかるようにしている。
ただ、「三郭」と馬出しについては、平面的な表示等を行っているだけで、門や建物などは復元されていない。

「名胡桃城」は、「沼田城」の支城として築かれた、比較的小規模な城郭であったことが発掘調査の成果からも知られる。
ただ、交通の要地にあり防御に優れた要害であったことで、その小城をきっかけに、豊臣秀吉による小田原攻めが始まり、戦国大名北条氏が滅亡し秀吉の天下統一が実現したのである。
「名胡桃城」は小規模な城郭ながらも戦国時代の動乱から天下統一へと我が国の大転換期に重要役割を果たした城郭である。
真田氏は「名胡桃城」を持ち続けたことで、近世大名へ転換できたのかもしれない。

 

(寄稿)勝武@相模

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